金原亭駒平が二つ目昇進の最初にぶち上げてきたのが毎月の落語会「百番勝負」の口演だ。
落語協会の黒門亭で開かれると言うので「黒門町百番勝負」定員40名の会場であるが、五月まで高座返しをしていた前座がいきなり毎月三年間で百席を喋り通すと言うのだから、意気の良い二つ目が現れたと言うほかない。
落語ファンとしては押さずにはいられない二つ目の会のひとつだ。
私が初めて駒平の高座を見たのは大学を卒業して役者だった佑樹丸時代の駒平だ。
浅草東洋館で開かれた「天狗連」の会で聴いた「夢の酒」が最初で、素人としては達者な口調で勢いもあって面白かった記憶がある。
大学で落研でもやっていたのかと思ったがそうではなく演劇を学んでいて何かを探すために落語を覚えてみたのがその一席だったそうだ。暫くして世之介の元に弟子入りしたと風の便りに耳にした。
寄席に立ち寄ると鈴本演芸場や新宿末廣亭で前座の駒平として高座に上がっていたのを覚えている。
私の行くときに限って『道灌』ばかりに当たって他のネタを聴きたかったが寄席では『道灌』しか聞いた事がなかった。もしかしたらネタは道灌しか持ってないのかと思って当人に聞くと「寄席では道灌しか掛けないと決めてます」と言いはなった。
何故かと聴くと、駒平は「前座で道灌がウケたら本当に腕が上がった証拠だと師匠に言われました。師匠も道灌ばかりをやっていたと聞いてます」と言われた。
実はネタの数は五十を超える。そこには「明烏」や「へっつい幽霊」など真打が喋るネタも多く含まれている。これを二つ目昇進と共に磨いてゆこうと言うのがこの会なのだろう。
簡単に百席と言うがプロの噺家としてのネタである。その三年間でどれだけ駒平が成長していくのか是非見とどけてみようと思う。
第一回目の演題は「井戸の茶碗」「元犬」「やかん」の三番勝負。これから十年駒平と言う落語家がどこまで化けるか楽しみでしょうがない。
演芸評論家 室輪まだこ