黒門町百番勝負|落語会|金原亭駒平 Official web site

毎月恒例 金原亭駒平の

黒門町 百番勝負

落語協会 2階

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「蝦蟇の油」は噺の基本

駒平の百番勝負第三日目は「鰻の幇間」「小粒」「蝦蟇の油」だ。

「蝦蟇の油」は寄席の開口一番で高座に掛ける噺ではないが、前座時代に必ず勉強しろと言われる根多で、古典落語の基礎的要素がふんだんにちりばめられた噺だと先代馬生師匠から聞いた事がある。

扇子による基本的な侍の刀の扱いと口上の言い立て、そして酔っぱらいの所作が加わる。

刀の扱いはゆくゆくは「柳田格之進」や「花見の仇討」「たがや」などの基本になるのだろうし、言い立てはアナウンサーの基本、稽古や役者のセリフ稽古の「外郎売」と同じ意味を持っているのだろう。

談志師匠から「落語を聴いたお客に、この人は巧いと言わせるのは簡単でね。会話と言い立てを交互に振ってゆく。すると下手な噺家でも名人に感じるんだよ。だから弟子には必ず講釈を勉強させる」と言っていたのを聞いた事がある。

確かに談志の演出には言い立てや地の部分が必ず入っている。また酔っぱらいは落語の基本かもしれない。酔っぱらい根多はこれから山のように出てくるわけだから確かにこの噺を見事に出来れば沢山の根多ができるようになる訳だ。

さて駒平の「蝦蟇の油」は一度だけ聞いた事があるがその時は師匠から「基本にそってやれ」と言われて演じていたのか、臭さのないさらっとした良い落語だった記憶がある。今回はここに二つ目の駒平の魅力が加わってきてどんな「蝦蟇の油」を聞かせてくれるか楽しみである。

「小粒」は師匠世之介の得意な小噺で、寄席のお客が沈んでいる時によく師匠が掛けているが、こういう噺こそ難しい。テンポと間だけでお客を手玉に取る。そんな力を今回駒平にも魅せて欲しい。

「鰻の幇間」は文楽が好きだったが、志ん朝を聴いてからはすっかり志ん朝の「鰻の幇間」ファンになった。駒平の師匠の世之介も志ん生や馬生よりも志ん朝に近い演出でやっているから、駒平も志ん朝の型なのだろう。駒平の「鰻の幇間」は初めて聴くので楽しみにしている。

世之介のギャグで鰻を割く職人が外国人と言うのがあって私は好きなギャグだが、駒平はどう変えてくるのかこれも楽しみだ。なにしろ百席を何年かかけて毎月勝負するその気概は素晴らしい。

きっと十年後の駒平を新進気鋭の大真打にしてくれると思う。だから皆さんも大いに期待して是非今後の駒平を応援して欲しい。

演芸評論家 室輪まだこ

今夜たまたま開店日です! 落語ルノルマンカード 百番勝負