(18:00 開場)

井上寄席 その二十

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会場詳細

〒111-0032
東京都台東区浅草1-43-12
浅草六区交番前

浅草 東洋館
井上寄席 その二十
井上寄席 その二十

■ 前売り / 3,800円   ■ 当日 / 4,000円

『井上寄席』

そもそも井上寄席は世之介が作家として、そして演出家としての井上僚章の才能に惚れ込んだことから始まる。

彼の描く物語には人情と人の裏側にあるペーソスがふんだんにちりばめられていて、それは何処か落語に似た世界観が漂っている。

多々在る秀作の内、今回世之介が演じる「鋸雪」は特に優れた作品と思っている。古典落語に女の為に何かしてやろうとする男はほとんど出てこない。いや一作もないかもしれない。

もちろん女性を口説き落としたいとか女に惚れた男の噺は多いいが、女を支えてやるなんて気丈な男は出てこないのだ。「芝浜」にしろ「子別れ」にしろ「文七元結」にしろ駄目な男を支え続けるのがいつも女だ。つまり男の理想に合わせて女性は描かれてゆく。しかし「鋸雪」は全く逆の存在として男を描いている。

弱っていく女房を何とかして遣りたい亭主の愛情。こういった古典落語には無い世界観が井上落語には存在しているのだ。だから井上寄席の高座には多くの女性の役者が落語を喋りに登場する。

今回も山崎あかね、柚佳、榎本なりこが井上落語に挑戦する。

女性の噺家が増えた昨今、女落語家を世に生み出す作品が井上寄席から生み出される予感を感じるのは私だけでは無いだろう。

また彼は直感で物語を仕立てて行くのが得意だ。吉川忠英のギター落語などは落語をすでに超え、吉川忠英の世界でしか味わえないアコースティクライブ高座を作り上げている。

かねはらっ亭よ~の世界観の演出は脱帽ものだ。安定している山口良一の高座も毎回楽しみのひとつでもある。

■ 演芸評論家 室輪まだこ