吉例、新春池袋本町シスナブ寄席がやってきました。なんと第五回です。気が付けば宮城、岩手、福島、静岡、小田原まで。今年もお正月からさまざまな落語会が開催されます。
埼玉県ときがわ町「トカイナカハウス」では、古民家での落語会も開催しています。令和五年のお正月も、皆様と共に初笑いと人情噺で楽しんでください。どうぞ皆様御誘い合わせの上、笑門来福シスナブに集まってくださいませ。
■ 池袋本町落語会席亭 神山典士
寄席の他で催される落語会を「地域寄席」「出前寄席」などと呼んで昭和五十年代からかなりの地域で行われて来ました。特に若手の勉強会で主に広がり、今では多い日は一日で全国三百か所を数える落語会が開かれるほどです。
もっとも老舗の地域寄席は差配の高年齢化とこのコロナ禍で閉会に追いやられた会もいくつかあります。
しかしながらこの江戸と上方の地方芸を、地域寄席が全国に認められる舞台にしたと言っても過言ではないでしょう。金原亭世之介も地域寄席を懸命に広めた噺家の一人です。
若い頃から佐世保、浜松、仙台、佐久など幅広く落語会を牽引し、先日も今回の主宰、神山氏の口利きで落語の不毛地のひとつ沖縄の離島「石垣島」や「宮古島」の落語会を成功させました。弟子のひとり金原亭杏寿はその沖縄出身です。
他にも世之介は小学生達に噺を聴かせる活動もしており、社会活動を懸命に広げている噺家の一人です。芸人はどちらかと言うと売れないからそういう場所で活動すると思われている方もいるようですが世之介の芸は素荒れた落語ファンが面白い落語家のベスト10に数える珠玉の芸人のひとりです。
当日世之介の落語を聴いた方は世之介落語の虜になる事を保証します。世之介の事ですから新春らしい噺をしてくれること間違いないでしょう。また世之介の弟子たちの成長も著しい。これを見るだけでも落語界の先取りが出来る事を保証します。
評論家の目から見ても弟子たちが力を付けたと感じます。金原亭杏寿は令和五年二月から二つ目昇進も決まっています。
金原亭駒平の落語も大物の片りんを伺わせます。志ん喜は持ち前の容姿を生かしてTV番組でもちらちらその姿を拝見します。新春早々素敵な落語に出会える機会を逃さぬように。
私のお薦めの落語会のひとつです。私自身も期待してます。
■ 演芸評論家 室輪まだこ