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NEWS > 19.7.22 金原亭世之介の会
2019.7.22 18:30 開演(18:00 開場)
金原亭世之介の会
会場詳細はこちら
会場詳細
〒171-0021
東京都豊島区西池袋1-23-1
エルクルーセビル地下1階

池袋演芸場

7月22日金原亭世之介の会
■ 前売り:2,500円
■ 当 日:3,000円
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『らくだ』
 人間の業の肯定が落語と言ったのは立川談志だ。
談志の時代はそれを受け入れられる世論がまだ存在していた。今はすっかり住みにくい世の中になったと思う。例えば昼から酔っぱらっている人間を楽しんで見る余裕のある人間が何処まで居るだろうか。多分マツ子の「月曜日から夜更かし」を現実として見ないテレビの中ぐらいのものだろう。ヤクザ者と呼ばれる人間を「彼らも懸命に生きているのだ」と言える人間もどれぐらいいるか疑問である。ちょいと前までは酔っ払いが世を闊歩し強面の兄さんも銭湯で背中のモンモンをひけらかし、それなりに生きていた。彼らは許されているからその分自分で制御してここまでなら許されるだろう範疇で羽目を外して生活していたのだ。行き過ぎた時にはそれなりの制裁は受けたろうが、やり直しもきいた世の中だった。今は一度張られたレッテルは剥がれない。だから犯罪も、もうお仕舞なのだとやってしまったら限度を超えてゆくのだろう。さて「らくだ」はヤクザ者と酒乱の屑屋。小市民を気どって生きているが冷たい大家やお店の人々。このギリギリの羽目を生きている人間たちの業の肯定だ。だから演者のやりようで心地よい落語で終わる時と問題点をぶつけられ虚しさの残る時と二つある。談志は勿論後者の演出だ。焦点は酒乱の屑屋に凝縮している。世之介の師匠先代馬生の演出も死体の頭を丸めて酒を酌み交わす折にらくだの髪の毛が口に入ってきたりして後者の感がうかがわれる。しかし世之介はマクラでは「ひと」の業を訴えるが落語は至って心地よく進んでいく。一度先代との聴き比べをしたがどちらも古今亭の「らくだ」の演出で極めて似ていた。それでも世之介は前者の様に落語を感じさせられるのは私なりの分析ではあるが彼の口調にその謎があると思っている。世之介は喋りの語尾が巧みに上っ調子になる。この事で厳しいセリフが和らげられているのだ。これは柳家小三治や柳家権太楼などが持つ落語のシャウトに似ている。若き頃小三治や当時さん光だった権太楼から何度も稽古してもらい受け継いだ技術だと私は思っている。世之介の今回の「らくだ」はどちらの演出を用いて来るのか楽しみだ。

■ 演芸評論家 室輪まだこ





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