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NEWS > 19.10.28 金原亭世之介の会
2019.10.28 18:30 開演(18:00 開場)
金原亭世之介の会
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会場詳細
〒171-0021
東京都豊島区西池袋1-23-1
エルクルーセビル地下1階

池袋演芸場

10月28日金原亭世之介の会
■ 前売り:2,500円
■ 当 日:3,000円

『三方一両損』
 元々は講談のネタである大岡裁きがテーマの落語だが、主役は大工吉五郎と左官の金太郎の江戸っ子で、物語の80パーセントは江戸っ子の小気味よい喋りが魅力の噺である。戦後落語ブームを巻き起こした、談志、志ん朝、柳朝など立て板に水の噺家達が得意としたネタで、学生だった私たちの世代はこの噺を聞いて落語が単なる老人芸でない事を知らしめられたネタでもある。そのため演じ手は口調の良い落語家に演って欲しい欲望に駆られる。その点世之介は向いていると言っても良いだろう。早い口調とテンポは世之介の得意とするところだからだ。江戸っ子を気どるからこそやせ我慢して滑稽になってゆく当時の若者を世之介がどう料理するかじっくりと今夜は聞きたい。

『時そば』
 扇子を使った物の見立ては落語の醍醐味のひとつです。中でも扇子を箸に見立てて蕎麦を食べる所作は噺家の真価が問われる芸の一つでしょう。その巧さは先代柳家小さんが今尚、語り継がれていますが器用さでは世之介の方が群を抜いて上だと私は思っている。二人目の柔らかい蕎麦の所作などは圧巻で、私は世之介がまだ二つ目時代に聴いていて可笑しくてツボに入ってしまい笑いが止まらなかった事がある。やり尽くされた「時そば」の演出に於いても世之介は格別で他の落語では沈んでしまう二人目の蕎麦屋の店主の演出が素晴らしい。これほどはっきりとそば屋の姿が見えてくる「時そば」は他には無い。世之介独自の落語のひとつとしてあげて良い一席だ。さて「時そば」を聞くにあたって是非知っていて欲しい知識があります。それは現在との時刻の違いです。今は午後1時から深夜0時までを1から12と増えていきますが、江戸時代はお昼を九つとして約二時間ごとに八つ、七つ、六つ、五つ、四つと減っていき又九つに戻ります。ですから八つは現在の2時から4時。そこで真ん中の3時を「お」の字を付けて「おやつ」と言う訳です。六つは日が暮れる6時頃ですから「暮六つ」朝でしたら朝陽が昇る「明六つ」と成る訳ですね。「時そば」のサゲは、少し早く出てきてしまった与太郎が九つに成る前。今の時間なら夜の11時過ぎですが午前零時に成る手前のつまり「四つ」にそば屋に行ってしまったと成る訳です。説明してしまうと、とんと面白くなくなってしまいますが、今の世の中ではちょっと分かり辛いサゲのひとつです。ともあれこんなうんちくを知識の片隅に置いて世之介落語を存分にお楽しみ下さい。お薦めの一席です。

■ 演芸評論家 室輪まだこ





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