チャリティ落語会 高円寺の底力落語会

『高円寺の底力落語会』

長いコロナ禍によって人のコミュニケーションが希薄になってしまったのは仕方ないことだが次世紀を担う子供たちをその渦に放っておくわけにはいかないと立ち上がったのが「四丁目こども食堂」の活動だ。

高円寺でも老舗の四丁目カフェの藤村誠氏と友紀さんが立ち上げた市民活動で現在たくさんの支援者が集まっている。今、高円寺四丁目から小さなウェーブが巻き起きているのだ。

そしてこの機に、子供たちに日本の伝統文化にも勤しんで欲しいと落語家の金原亭世之介に連絡が来たのは８月。これは友紀さんが３０年余り前に師匠と知り合い、その後俳句の教授を受けていた事に始まる。

世之介はもちろん落語家生活半世紀のベテラン真打だが日本の文化研究の一任者で、芸人では珍しく大正大学で大学教授として教鞭を取って十年目の現役研究者でもあるのだ。

もちろん高座は滑稽噺から人情話まで幅広い力量を持ち作詞作曲、俳句、小説執筆もこなす現役噺家だ。落語通からは古今亭志ん生イズムを伝える直系の芸人と呼ばれている。

そして今回この会に出演する美人落語家の金原亭杏寿は「艶（つや）可愛い噺家」をキャッチフレーズにして巷を騒がせている世之介の一番弟子だ。今年５月には歌手としてもテイチクエンタテインメントからミニアルバムでCDデビュー、日テレのBS「笑点」にも出演していて今一番旬の落語家のひとりだ。

金原亭駒平は若手で落語の実力ナンバーワンの定評高く今回の高座を聴いた観客は多分この若手二人の虜になる事間違いないだろう。

今後は「子どものための落語会」や「落語教室」も企画していこうと盛り上がっている。そして落語会の売り上げの一部は毎回「四丁目子ども食堂」に寄付される。

是非落語を通して日本文化を楽しみながら「四丁目子ども食堂」を支援してほしい。落語を聴く事で社会活動のお手伝いができるなんて素敵な試みじゃないか。

私も楽しみに「高円寺の底力落語会」観に行かせていただく。

演芸評論家　室輪まだこ