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落語女子のススメ!大人な趣味、はじめました。 落語女子のススメ!大人な趣味、はじめました。

案内人

落語女子を広めたい!
金原亭杏寿
きんげんてい あんじゅ



師匠 芸歴45年!
金原亭世之介
きんげんてい よのすけ

案内人

落語女子を広めたい!
金原亭杏寿
きんげんてい あんじゅ

師匠 芸歴45年!
金原亭世之介
きんげんてい よのすけ

落語って、
漫画やアニメで見たことがあって
興味あるけど……


難しそうだし
覚えることが 多そうだし
敷居が高そう

『どこから始めたらいいか、
わかんない!』


そんな 乙女達 向けの落語入門です!
※もちろん、老若男女 大歓迎!

一緒に大人の趣味
“落語” を楽しみましょう!

目次

落語ってなに?

落語は、伝統的な話芸のひとつ。
笑いあり、涙あり、世界で日本にしかない唯一の言語芸術ともいわれています。
お話の内容はほとんど会話形式で、説明はほとんどありません
これこそが世界に類を見ない日本にしかない話芸の特徴です!

高座に座って
扇子手拭い だけを持ち
大勢のお客様の前で ひとり 噺をする。

それが、
日本の伝統芸能「落語」なのです。
金原亭世之介 高座の様子

落語は簡単?

落語がはじめての人に優しい伝統芸能であることはご存知でしたか?

落語は難しくありません!
さくっと行ける伝統芸能。それが落語です!

落語は解説からはじまる?

落語は大きく分けて3部構成になっています!
——————— 落語の構成 ———————
—— 落語の構成 ——

まくら

+

本題

+

オチ

  • まくら
    落語の導入部分。分かりにくい・難しい言葉を、世間話や小噺に交えてさりげなく紹介します。もちろん、現代語です! “まくら” の内容を頭の隅に入れておくと、より落語が楽しめること間違いなし!
    実は、“まくら” が楽しくて、お目当てにしているお客さんもたくさんいるんです! 落語の楽しみのひとつです♡
  • 本題
    お話の本編です。まくらの伏線が回収されたり、時事ネタが挟まったり。現代風にアレンジされた聞きやすいお話も多くあります! そして、同じ演目でも落語家によって味わいが違うのもまた魅力。カバーソングを思い浮かべるとわかりやすいかも!
  • オチ
    ダジャレ・語呂合わせなどでお話を締めくくります! “オチ” は落語の重要な要素です。とはいえ……、意味がわからなくても大丈夫! “オチ” はお話の締めくくりであるとともに、落語の「おしまいの合図」です。分からなくても、お話の全てが分からなくなることはありません! 安心して聞きにきてください。

金原亭世之介 子供向け高座の楽しそうな様子

落語ってゆる〜い?

落語を見るための厳しい「シキタリ」はありません

例えるなら「お笑いライブ」「声を出して笑っていい映画館」。どんな服装でもOKです! リラックスして、ゆったりと楽しんでください!

落語はこどもでも楽しめる?

落語はこどもたちも楽しめるエンターテイメント

師匠が監修する「こども落語」では、こどもたちが夏休みの自由研究として落語を覚えて発表!「ちりとてちん」「子ほめ」「つる」「平林」が披露されました!!

落語は小学生でも楽しめる、難しくない伝統芸能なんです!

歴史

その歴史は戦国時代までさかのぼります。

落語の祖、つまり、落語っぽいことを始めたのが、曽呂利新左エ門 (そろりしんざえもん)という人物であると伝わっています。……ちょっと変な名前ですね。
浄土宗の僧侶で御伽衆 (おとぎしゅう)(=戦国大名に仕え、話の相手をしたり、世情を伝えた人達)でもあった安楽庵策伝 (あんらくあんさくでん)と同一人物とも言われています。

その後、江戸時代になり上方 (かみがた)(=関西)では、露の五郎兵衛 (つゆのごろべい)辻噺 (つじばなし)(=道ばたで笑い話などをしてお金を得ること)に始まり米沢彦八 (よねざわひこはち)辻噺 (つじばなし)「彦八はなし」が一世を風靡します。

そうして、多くの芸人たちを経て、三遊亭圓朝 (さんゆうていえんちょう)が幕末から明治にかけて大活躍し、今の落語につながってきました。

落語のきゅんポイントは?

落語って……なんだか
古臭いし、ダサい 感じ。

そそそ、
そんなことないんです ! ! !

落語は伝統を守りながら、時代と共に変化していく芸能です。
落語には、知られざる
さまざまな見どころがあります。
きゅん ♥ エモい ☾
お洒落 ✿ 面白い ☻
4つのアイコンと
一緒にご紹介します!

恋愛のお話もたくさん♡
きゅん ♥エモい ☾

幾代餅 (いくよもち)

()き米屋 (=精米して小売りするお店)
の奉公人
清蔵 (せいぞう)
×
吉原のトップ花魁 (おいらん)
幾代太夫 (いくよだゆう)

逆シンデレラ♡
ラブストーリー!

幾代太夫に一目惚れしてしまった清蔵。しかし、トップ花魁に会うということは、奉公人 (=雇われの身) の清蔵にとってはとてつもなく難しいこと。

トップ花魁に会うためには、財力と地位が必要不可欠。

しかし奉公人の清蔵は、どちらも持ち合わせていませんでした……。

それでも幾代太夫に会いたい清蔵は、一年間みっちり働いてお金を稼ぎ、それでも足りず、親方 (=雇い主) にお金を足してもらい……。野田 (のだ)の醤油問屋の若旦那と偽って (=現代で言う、有名お醤油会社の跡取り息子)、やっとの思いで幾代太夫に会いに行くのでした。

宮戸川 (みやとがわ)

(はな) × 半七 (はんしち) の 馴れ初め の一席!
若いカップルの
馴れ初めを覗き見 ! !

質屋の息子、半七は、友人と将棋を指していて帰りが遅くなってしまい、締め出しを食ってしまいます。

すると、友人とカルタをして帰りが遅くなり、同じく締め出しを食ってしまった幼なじみ、お花と出会います。

半七は、締め出された時は、いつも叔父さんの家に泊まることにしていました。

お花は「そこで私も一晩お世話になりたい」と半七に言い出し、嫌がる半七を押し切り、叔父さんの家までついて来てしまいます……っ!

半七の叔父さんは、近所で有名な早合点おじいさん! 案の定、半七とお花は叔父さんに“勘違い”をされて、2人っきりで2階の部屋へ通されて……。

金原亭杏寿「 (中略) やっぱり初めて見たときに師匠が演じていた『宮戸川』は思い入れも強いので、もっと磨いていきたい一席です。まだまだこれからの身ですが、女性落語家だからというよりも、杏寿だからできる表現、そういったものを作り上げていけたらいいなと思っています」

POPでイマドキなお話も!
きゅん ♥面白い ☻

お菊の皿 (おきくのさら)

怪談噺『番町皿屋敷』の幽霊が
お座敷アイドルに!?

番町(=現在の東京都千代田区西部)にある廃墟の井戸に『“お菊”という超美人の幽霊が化けて出るらしい』という噂を聞きつけた若者たち。

「やめておけ」というご隠居(=仕事を引退したおじいさん)の言葉も聞かず、丑三つ時(=夜中の3時頃)めがけて、いざ番町皿屋敷へ。

しばらくすると、井戸の中から幽霊が現れて「一枚、二枚……」と皿を数え始めます。その恐ろしいこと恐ろしいこと……っ!

とはいえ、幽霊は噂通りの超美人!!

その美しさの噂を聞きつけて、どんどん人が集まるようになり、とうとう興行として観客を集め始める者も出現!

お菊の幽霊も観客たちに“ファンサ”をするようになり……!?

師匠世之介から受け継いだ
杏寿のオリジナル楽曲入り『お菊の皿』はこちら!

感動するお話も……。
エモい ☾面白い ☻

芝浜 (しばはま)

夫婦の愛に感動
人情噺の傑作!

腕はいいけれど、お酒好きで怠け者の魚屋、勝五郎。

奥さんに諭されて、勝五郎はしぶしぶ芝浜 (=現在の東京都港区芝浦、田町駅・レインボーブリッジのすぐそば) の魚河岸に仕入れへ向かいます。しかし、奥さんが時間を間違えて、予定より早く着いてしまいました。

仕方なく浜で夜明けの風景を見ながら待っていると、革の財布を見つけます。拾ってみると……、なんと! 中に金がいっぱいに入っているではありませんか!

これで遊んで暮らせると、喜び勇んで仕事を放り出して家に帰った勝五郎。

そんな姿を奥さんは心配して……。

おめでたい一席として、年末にたくさん披露される名作です! うちの師匠の十八番でもあります。

歴史ある建物で一席
エモい ☾お洒落 ✿

新宿末廣亭 (しんじゅくすえひろてい)

創業は明治30年。新宿大火・戦争で2度焼失し、昭和21年に今の場所に再建されました。

東京にある定席 (=毎日興行がある寄席) としては唯一の木造の建物です。落語を感じるならこの場所は外せません!

新宿末廣亭 新宿末廣亭 新宿末廣亭

新宿末廣亭の楽屋では、今でもお湯を沸かしてお茶の用意をしたり、冬には炭を起こしたりしているんですよ!

新宿末廣亭 楽屋

新宿末廣亭は杏寿も大好きなアーティスト、米津玄師さんの『死神』のMVが撮影された場所でもあります! 聖地巡礼の際は、是非落語も楽しんでください!

はじめて 落語ガイド

気楽に立ち寄れる伝統芸能、それが落語です。
でも、初めて心配事がたくさん
そんなみなさんの、背中をそっと押すガイドになっていたら幸いです!

初心者でも大丈夫?

大丈夫!
厳しい「シキタリ」はありません!
雰囲気を例えるなら、寄席は声を出して笑っていい映画館のような空間。
リラックスして、ゆったりとお楽しみください!

寄席の様子

予備知識は必要?

難しい印象がある落語ですが、予備知識はいりません!

どんな人にも楽しんでもらえるよう、落語家達はお客様の様子を見ながら話の雰囲気や言葉遣い、演出をその場で変えてお話します。

あなたが初めて寄席に出向いた時、きっと芸人はあなたの顔を見ながらあなたに合わせた話をしてくれるはず!

その時聞いた落語は、その時その場所でしか聞けない。それが「落語」の良さでもあります!

どこでやってるの?

常設の寄席(毎日興行がある寄席)のことを定席 (じょうせき)と言います!
東京の代表的な定席 (じょうせき) 4軒は、いつでも落語を上演しています。

予約なしでふらっと
立ち寄ることができますよ!

上野 鈴本演芸場 新宿末廣亭 浅草演芸ホール 池袋演芸場
( ※特別公演等、予約が必要な場合がありますので、詳しくは各WEBサイト等をご確認ください! )

チケットの買い方は?

木戸銭 (きどせん)( =入場料)は、寄席の入り口にある受付でお支払!
切符売り場を「テケツ」とも呼びますよ。

定席 (じょうせき)の場合

チケットを一回購入すれば、入場してから興行が終了するまで、時間一杯楽しめます! ただし、途中外出はできませんのでご注意ください!

代金は通常公演の場合、2,000円〜3,000円程度。
団体割・シルバー割引・夜割など、様々お得な割引もあります。

池袋演芸場 木戸銭

特別公演の場合

予約が必要な場合が多くあります! 当日、席に空きがあれば当日券の購入可能の場合もあるので、各詳細はWEBでチェックしてみてください!

師匠ともども所属しているキングプロダクション主催の特別公演は、最新情報の「お知らせ一覧」から各種予約の有無・詳細をご確認いただけます。ぜひご確認ください!

大人気の特別公演
シリーズはこちらから!

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指定席なの?

定席は全席自由席です!
特別公演は指定席の場合もございますので、詳しくは各WEBサイト等をご確認ください。

どんな服で行けばいいの?

どんな服装でもOK!
もちろん、着物でもOK! 「ゆかた割」「和服割引」がある寄席もありますよ!

休憩はあるの?

仲入 (なかい)りという、寄席の休憩時間が入ります。
寄席によりさまざまですが、時間は10~15分くらいです。
太鼓の音と一緒に「おな〜か〜い〜り〜」という掛け声が掛かります!

落語を楽しむコツ

“推し演目” より “推し落語家” を見つけてください!

落語をより楽しむコツは「推し落語家」を見つけること。

実は、同じ演目 (ネタ) でも、落語家によって演出が全く違います!

「あれ? 前聞いた時はここで面白いボケが入ってたはずなのに?」
「あれ? 登場人物の名前が違う」

こんなことがたくさんあるのが落語です!

落語のネタは、どんなものでも、必ず師匠たちから稽古をつけてもらい、OKが出たらお客様の前で話してもいいというシキタリがあります!

なので、稽古をつけてもらった師匠によって、落語のネタの細かい演出も違ってくるんです!

と、いうわけで、気に入った演目があっても、他の落語家がその演目をその通りに演じるとは限りません!

次は、一門をまとめて “箱推し” !

気に入ったネタがあった時、その話をもう一度聞きたいな、と思ったら、同じ落語家の同じ話を聞くことが一番!

そして、もうひとつ。

その落語家が真打ち(弟子を持てる、師匠と呼ばれる、いわゆるベテラン)であれば、主催する落語会にその落語家の弟子や育てている前座・二ツ目も高座にあがります。

そこがポイントです!

その落語家が所属している「一門」をまとめて “箱推し” してください ♡

一門とは、わかりやすく言うと、“落語家の一家” のこと!

金原亭世之介一門、といえば、うちの師匠、そして弟子の、杏寿、駒平のことを言います。

落語家は一門ごとに演出が似ているので、もし、師匠の落語が好きだ! という方がいらっしゃったら、杏寿以下、駒平の落語も師匠仕込みの同じ演出です!

ですので、きっとどこかに同じ面影を見ていただくことができるかもしれません。(精進いたしますっ!)

気に入った落語家の一門の落語を一気見したい!
そんな方におすすめなのが「一門会」!

金原亭世之介一門会(弟子の会)は
こちらから!
世之介ひよこざいだん 世之介ひよこふぁーむ

落語の用語集

はじめて落語を見に行くとき、わからない言葉がたくさんあって不安!
そんなときは、この用語集をチェックしてみてください!

大きく2つに分けて
ご紹介します!

落語用語

寄席 (よせ)
落語などを上演する小規模な常設演芸場。「よせ」は「寄せ場」の略語で、「人を寄せる場所」という意味があります。
定席 (じょうせき)
常設の寄席(毎日興行がある寄席)のこと。1ヶ月を10日間ごと、3席(上席 (かみせき)中席 (なかせき)下席 (しもせき))に区切って、出演者を入れ替えて興行をしています! 1日の中でも、昼席 (ひるせき)夜席 (よるせき)で出演者が違います。是非チェックしてみてください!

東京の代表的な定席 4軒

上野 鈴本演芸場 新宿末廣亭 浅草演芸ホール 池袋演芸場
上席 (かみせき) 中席 (なかせき) 下席 (しもせき)
それぞれ、【1日〜10日】【11日〜20日】【21日〜30日】のこと。
昼席 (ひるせき) 夜席 (よるせき)
それぞれ、だいたい【12時ごろからの席】【17時ごろからの席】のこと。
初席 (はつせき) 二之席 (にのせき)
それぞれ、お正月の【元日〜10日】【11日〜20日】のこと。
楽日 (らくび)
最後の日のこと。千穐楽 (せんしゅうらく)とも言います!
独演会 (どくえんかい)
定席とは違って、共演者をもたずに1人で演じる会のこと。うちの師匠も3ヶ月に1度くらいのペースで独演会 (どくえんかい)を行っています! 1人で演じる、とは言っても、弟子たちも出演したり、ゲストが呼ばれることもありますよ!
一門会 (いちもんかい)
師匠を中心として、その弟子達が出演する会です!「世之介ひよこざいだん」「世之介ひよこふぁーむ」は金原亭世之介の一門会 (いちもんかい)ですよ!
噺家 (はなしか)
落語家のこと。他の芸人と一括りに「芸人」と呼ぶこともあります。“噺家” は “落語家” より丁寧な表現なので落語家のことを「噺家さん」とお呼びすると素敵女子にもっと近付けます!

階級制度

落語家の階級は3段階
見習いを含めると4段階あります。ただし、これは関東の“江戸落語”の制度です。関西の“上方落語”はこのかぎりではありません。

前座見習 (ぜんざみなら) 修行
入門すると、まず見習い期間が一年半ほどあります。ここから毎日、365日師匠の元に通う修行がはじまります!
この間に落語を覚えるのはもちろん、着物のたたみ方、手ぬぐいや扇子の扱い方、太鼓の叩き方、世の中の礼儀作法などなど……たくさんのことを教わります!
師匠の荷物持ちや、お宅のおそうじ、お茶だしもします。師匠の間近で仕事をしながら、落語家とはどういうものなのか、お勉強させていただきます。
荷物持ちをする金原亭駒平
前座 (ぜんざ) 修行
前座見習いである程度のことを覚えると、前座 (ぜんざ)として寄席で働くことが許されます。 落語家の位の一番下です。
前座見習 (ぜんざみなら)いの頃から続けているお仕事に加えて、寄席の楽屋で、自分の師匠だけでなく、楽屋にいる師匠達の身の回りのお世話もします!
公演中はお囃子の太鼓も叩きますし、高座をつくるのも、前座 (ぜんざ)のお仕事です!
高座で働く金原亭杏寿 着物を畳む金原亭杏寿

修行... 前座の修行と特に強い関わりがあるワードです! 落語家は全員、修行をして一人前の落語家になっていくのです。もちろん、うちの師匠も前座だったころがありますよ! ちょっと不思議な感じですね。

うちの師匠金原亭世之介が前座だった頃 うちの師匠金原亭世之介が前座だった頃
(ふた) ()
前座 (ぜんざ)の次の位です。
見習いから5年程度修行を積み、(ふた)()に昇進します。前座 (ぜんざ)修行を終え、師匠の元へ毎日通うこともなくなり、寄席の楽屋でのおつとめもなくなります。
今まで許されていなかった、紋付の着物や羽織、袴を着られるようになって、自分だけの出囃子 (でばやし)をもつことができます
金原亭杏寿
……とはいえ、ここからが本当の芸の道っ! 落語の他に踊り、俳句、歌など、色々な芸の稽古をしていきます!
そして、もちろん、師匠との縁が切れるわけではありません! 師匠は一生師匠。ここまで育ててくださったご恩は変え難いものです……っ!
たとえ一番偉い位の真打ちになっても、節目のご挨拶は欠かしません。
真打 (しんう)
寄席で一番最後に出て“トリ”を飾ることができる落語家です。「師匠」となり、弟子を取ることができるようになります!
金原亭世之介
もちろん、うちの師匠も真打 (しんう)ちです。(ふた)()から10年程度で師匠になる、というのが平均的な期間のようです。

 落語家になる為には、真打ちの師匠に弟子入りをして、前座の修行をしなければなりません。弟子入りに試験はありませんが、たいがい弟子入りは断られます。情熱を持って何度もお願いをして、やっと許してもらえるのがほとんどです。

天狗連 (てんぐれん)
プロの落語家の真似をして落語をするアマチュアのこと。うちの師匠がプロデュース・稽古している『天狗連参る』も、その名の通り天狗連 (てんぐれん)です! まさか、ここから本当に弟子入りしてしまう人が出てくるとは……。
(いろ) もの
落語・浪曲など、主演目以外の演目のこと。講談・落語・浪曲・漫才・音曲・手品・曲芸などなど、寄席 (よせ)ではバラエティー豊かな番組(=プログラム)を見ることができます! 昔から看板を書くときに、落語は「黒」その他は「朱墨」を使っているので、このように呼ぶのだそうです。
木戸銭 (きどせん)
入場料のこと。木戸口(入口)で支払うところからそう呼ばれます。
テケツ
チケット、または、劇場などの切符売り場のこと。「チケット」が訛ったものが「テケツ」になったんだとか。
高座 (こうざ)
芸人が芸を演じる一段高い舞台のこと。毛氈 (もうせん)(赤い布)が敷いてあることもあります。落語のお噺をお客様の前でやることを「高座 (こうざ)にかける」という言い方をします!
落語の高座イメージ
めくり
芸人の名前が書かれている紙。高座に置いてある、ペラペラめくるやつです!
高座返 (こうざがえ) 修行
寄席で芸人の出番が終わったあと、次の高座や出番の準備を整えること。これも、前座 (ぜんざ)のお仕事です! 落語と落語の間は座布団を裏返し、めくりをめくります。
まくら
落語の本題に入る前の導入部分です。落語の楽しみの一つ!(うちの師匠はまくらだけで1時間も話しちゃうことも...っ!)世間話を交えて、本編の分かりにくい言葉の注釈もここで話します。是非楽しんで聴いてください!

\師匠のまくら ショート動画集!/

根多 (ねた) (ネタ)
演芸の題名のこと。お笑い芸人の「ネタ (・・)帳」を思い浮かべると、親しみやすいかも!

注目その日に出た演芸の題名を書く帳面を「ネタ帳」と言います。後から出る芸人たちがこれを楽屋でチェックしたり、会場の様子を見て、自分の演じるものを決めています。だから、同じ寄席で、同じネタは出てきません。特にお知らせがない限りネタは当日決まります!

ネタおろし
今まで演じたことのない落語のネタを、“初めてお客さまの前で披露する” ことをいいます。お稽古の成果を初めてお客さまに見せる瞬間は、いつも緊張します...っ!
演目 (えんもく)
落語の題名のこと。演題とも言われます!

演目の種類

古典落語 (こてんらくご)
おもに昭和初期以前に作られたお噺を「古典落語 (こてんらくご)」と言っています。時代背景は江戸時代が基本です! 時代劇を見るような感覚で、タイムスリップして楽しめますよ!
新作落語 (しんさくらくご)
おもに大正時代以降に新しく作られたお噺を「新作落語 (しんさくらくご)」と呼んでいます。もともとは落語家や作家が作った「創作落語」のことを指す言葉でしたが、今では毎日新しい落語が生まれています。落語は進化し続ける伝統芸能なんですよ!
滑稽噺 (こっけいばなし)
愉快で面白おかしい落語のお噺のこと。落語といえば、滑稽噺 (こっけいばなし)を思い浮かべる人も多いかもしれませんね!
人情噺 (にんじょうばなし)
人の心の移り変わりを丁寧に描いたお噺です。落語は笑いだけじゃなく、涙なしには聞けないしんみり感動するものもたくさんあるんですよ!
オチ
落語の締めくくりのセリフです!「()げ」とも言います。落語は “落とし話” といわれるくらい最後の「オチ」が肝心ですが、オチのない人情噺もあるんですよ! それでも、笑って泣ける、面白い落語がたくさんあります!
一番太鼓 (いちばんだいこ) 修行
開場の時に叩く太鼓。お客様が沢山入るように「ドンドンドンと来い」と聞こえるように叩きます!
二番太鼓 (にばんだいこ) 修行
開演5分前に叩く太鼓。これから始まるという合図です。締太鼓 (しめだいこ)大太鼓 (おおだいこ)・そして能管 (のうかん)という笛の音色が入ります。「お多福天天(たふくてんてん)」と聞こえるように太鼓を叩きます。
出囃子 (でばやし) 修行
芸人が高座へ上がる時に、演奏されるテーマソング。落語家一人ひとりに専用の曲があります! うちの師匠は「文のたより」、杏寿は沖縄の民謡「安里屋 (あさどや)ユンタ」です。
開口一番 (かいこういちばん) 修行
一番最初に上がる芸人のこと。おもに開演前、前座 (ぜんざ)がつとめますが、本来は前座の後にあがる芸人のことを言います! この言葉の裏には、前座はまだお金を取れる芸ではありませんという意味が含まれているんです! 厳しいですね……っ!

金原亭駒平の開口一番

トリ
ご存知の通り、興行の一番最後に出る人・曲などを指します。寄席のトリは、もちろん真打 (しんう)ちがつとめます! 主任 (しゅにん)とも呼びます。
仲入 (なかい) 修行
寄席の休憩時間のこと。寄席によりさまざまですが、時間は10~15分くらいです。仲入り太鼓の音と一緒に「おな〜か〜い〜り〜」という掛け声が掛かります! これも前座がつとめていますよ!
ドロ 修行
演目のなかで、幽霊が出てくる場面で入れる「ドロドロドロ〜」という太鼓のこと。『お菊の皿』では、幽霊の “お菊” が出てくるシーンでドロが入ります!
() () 修行
寄席の最後に叩く太鼓のこと。「出てけ出てけ、テンテンバラバラ、バラバラ、カラカラ」と叩きます。そして最後に、太鼓の鋲をバチでこすって、鍵をかける音を演出します! おしゃれですね〜!

物語登場することば

時間の数え方

落語によく登場する時間の数え方を図にしてみました!
昔は24時間を干支に当てはめて数えていたんです。
そして、江戸時代は一日を、『日の出〜日の入り(=昼)』と『日の入り〜日の出(=夜)』に分けて、昼・夜それぞれを6つに等分して時間を数えていました。
『日の出』『日の入り』が基準となっていたので、季節によって一刻の長さが違っていたのです!
落語によく出てくる江戸時代の時間の数え方

おまけ最初の時刻が“九つ”から始まるのは、中国の思想が元になっています。中国で“9”は一番縁起の良い数字とされてきました。そのため、江戸の人々は一日の初めに縁起の良い“9”という数字を当てはめたのだそうです。また、“四つ”から“九つ”に再び数が飛ぶのは1日を半分にして考えたから、という説が有力です。現在の午前・午後の考え方に通じますね。

丑三つ時 (うしみつどき)
夜中の3時頃のこと。「お化けが出る時間」です!
落語でも、幽霊が出る時間はだいたい真夜中の「丑三つ時」っ! 幽霊が出てくる話といば『お菊の皿(皿屋敷)』『へっつい幽霊』『応挙の幽霊』が有名です!
特に『お菊の皿』は、世之介一門で力を入れているネタです!!

おまけ干支は、時間だけでなく方角にも当てはめられていました。丑三つ時は方角に当てはめると、(うしとら) (=東北)になります。この方角は“鬼門”と言われ、鬼が出入りする場所とされていました。なので、時間の中で東北を意味する丑三つ時も、幽霊などよくないものが出やすいと信じられていたのです。

(とき) そば
時間の数え方が肝になる落語のネタです。
『九つ(=0時ごろ)』『四つ(=22時ごろ)』という時間が出てきます。
お金を数える途中で時間を尋ねて、数をごまかすお話です。落語といえばこのお話を思い浮かべる方も多いかも知れません!

お噺蕎麦屋にやってきた1人の男。お蕎麦を食べ終え、お勘定の銭を『八つ』まで数えて「今何時 (なんどき) だい?」と店主に尋ねます。『九つ(=0時ごろ)です』と店主が答えたところで『九つ』を飛ばして『十』から数え始めます!『九つ』で数えるはずの銭1枚分を数えずにちょろまかしたのです!
これをみていた“まぬけ”なもう1人の男。翌晩に自分も同じようにチャレンジしますが……『八つ』まで数えて「今何時だい?」と店主に尋ねると『四つ(=22時ごろ)です!』ありゃりゃ、『八つ』まで数えたのに、『五つ』からもう一度数えることになって損してしまいましたとさ。

時そばのオチをわかりやすく! 時そばのオチをわかりやすく!

\「時そば」の動画はコチラ!/

時そばのオチをわかりやすく! 時そばのオチをわかりやすく!

登場人物

落語にはいろんな人物が登場します! なかには現代では聞き慣れない人たちもたくさん!
遊女 (ゆうじょ)
歌や踊りで宴会の席を楽しませ、枕席にも仕えることを職業とした女性たちの事。
実は、遊女のはじまりは「巫女 (みこ)」であったという説もあります! 特に、平安時代は高い教養と歌舞(=歌と踊りの技)を兼ね備えた憧れの存在だったようです!

注目神様を楽しませるため、神前で舞や音楽を奉納することを「神遊び」と言います。そして、それを行う女性たちのことを「遊び女 (あそびめ)」と呼びました。

その後奈良時代以降になり、現代のイメージの「遊女」に近づいていったようです。
女郎 (じょろう)」も「遊女」を指す言葉ですが、江戸時代から使われ始めた呼び方です。もともとは女子全般を指す言葉だったものが、江戸時代以降「遊女」を指すようになりました。
花魁 (おいらん)
妹分を連れている遊女のことを指しています。
遊女の階級ではなく“呼び名(敬称)”で、妹分たちから尊敬の意を込めて「おいらの所の姉さん」→「おいらん」となった、という説があります!
太夫 (たゆう)
遊女の最高位の呼び名です。落語の『幾代餅 (いくよもち) 』に出てくる幾代太夫がここに当てはまります!
もともと、芸能に秀でた人に使われる敬称です。江戸時代の初めごろは、遊女たちが歌や舞を披露していました。そこから優れた者を太夫と呼ぶようになり、遊女の最高位の呼び名としても、この呼び名が定着したそうです。
太夫にもなると、美しさはもちろん、楽器の演奏・歌・舞もできて、大名の話し相手ができるくらい頭もよく、知的であったそうですよ!

注目太夫の下に、格子 (こうし)散茶 (さんちゃ)端女郎 (はしじょろう)などの位も存在しました。ほか、禿 (かむろ)(=花魁の身の回りの雑用をする女の子)新造 (しんぞう)(=遊女見習い)などもいました。時代によってさまざまな位が姿を見せは消えていきましたが、“花魁”という呼び名は残り続けていったようです。

芸者 (げいしゃ)
歌、舞、三味線などでお客様をもてなし、宴会を盛り上げる芸人さんです。江戸時代には男芸者・女芸者と分かれていましたが、明治以降、芸者といえば女性を指す言葉になりました。
隠居 (いんきょ)
商売を息子や跡取りに譲って、仕事を引退したおじいさま。落語には、人生経験が豊富で物知りなご隠居さんや、いいかげんなご隠居さんなど……さまざまなご隠居さんが登場しますよ!
大家 (おおや) さん
長屋 (ながや) (=1つの建物の中にお家がいくつも入っている集合住宅のこと)の管理をしていた人を「大家さん」と呼びました。
お家を貸している人ではなく、今で言う管理人さんのようなイメージですが、長屋の住人からお家賃(=店賃 (たなちん) )を集めるだけではなく、町の役人として防火防犯の取り締まりや、冠婚葬祭の手配なども行う、頼れる存在だったのです!

注目「大家といえば親同然、店子 (たなこ) といえば子も同然」という言葉が落語にはよく出てきます。“店子”とは、部屋を借りている人のこと。
当時の大家さんは捨て子・身寄りのない病人や怪我人の面倒もみていたそうです……。大家さんの存在の大きさを感じますね!

番頭 (ばんとう) さん
商家(=商売をするお家)の使用人の一番偉い人のこと。当時、店の主人である旦那さま(=ご主人、大きな会社でいうと社長さんです)は店には出ず、この番頭にすべてを任せていました。
旦那 (だんな) さま
家の主人。商家(=商売をするお家)の使用人の主です。
若旦那 (わかだんな)
跡継ぎ息子のこと。
旗本 (はたもと)
江戸の将軍家に直接仕える武士のうち、将軍に謁見できる(=直接お目にかかれる)えら〜い人たちを指したそうです。今で言えば官僚のような存在であり、村を治めるお殿様でもあったんだそうです!