煌座×天狗連参る in 川崎

煌座×天狗連参る in 川崎

タレントの日出郎 (blog) と桃太郎俳優神木優 (blog) が噺家の金原亭世之介に落語を習いに来たのをきっかけに生まれたのが『天狗連参る』だ。

世之介が「遊びの会ですから学祭の落研の落語でも聴くつもりで来てください」と私にチケットを送って来たのが平成三十年五月。

その日、私は期待せず浅草寺参りのついでに会場に足を向けた。確か浅草「東洋館」が第一回目だったと思う。その時の衝撃は今も覚えている。私は新たな落語の可能性をそこに感じたからだ。

まさに「天狗連参る」はプロの噺家達への完全な挑戦状だった。二回目には大衆演劇の松井悠が加わりエンタテイメントの幅が広がった。

その上第一回目出演した小劇場の花形役者の一人は落語家になってしまっていた。今の金原亭駒平がそれだ。その後、蜷川幸雄に見いだされた役者の砂原健佑、アメリカ人タレントのフォーンクルック幹治 (Twitter/YouTube) 、今回は出演できないが日テレ「news evry.」の渡辺裕太 (blog) 、二次元半舞台の安川純平が加わり、新たな落語ファンの入り口がこんなところにあるのかと今も感じている。

芸能界でもじわじわと話題となって来ている。日出郎は先日週刊誌の見出しに「日出郎は落語家になって居た？」と書かれるほどの盛り上がりようなのだ。

宝塚のスター「えまおゆう (blog) 」が参戦した事でも業界での話題の沸騰具合は解ろう。「えまおゆう」の高座は残念ながらコロナウイルスの影響でその実現は先延ばしとなって居るがいずれ実現するであろう。

前回はなんと、メンバー全員が江戸遊戯「投扇興」の演技を舞台で見せつけた。高座上で大技「浮舟」が飛び出した時にはソーシャルディスタンスの会場が揺れた。

今回は大衆演劇の勢い大島劇場での『煌座』との共演だ。舞踊も披露すると聞いている。

本家の噺家達が伝統文化から離れて踊れない落語家、俳句のひとつも詠めないと言われる中で「天狗連は何処までやるつもりだ。」とコロナを吹き飛ばすこの企画に大いに期待している。

何しろ大衆演劇の座長「煌京一朗」ばかりか大衆演劇の華の子役「煌乙友羽」が落語を高座に掛けると言うのだからこれは期待しないではいられない。

何が飛び出すか。この現場に居られる喜びを貴方も味あわずして令和で舞台ファンは語れない。

■ 演芸評論家　室輪まだこ