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NEWS > 21.10.15 第三回 志ん生の孫 |
2021.10.15 動画配信 第三回 志ん生の孫 |
【木戸銭】 2,000円 *出演者サイン入りポストカード付き チケット購入はこちら 第三回『志ん生の孫』
古典落語の同じ噺を何度聞いても面白いと思うのは、私だけではないだろう。これは個々の噺家によって演出が大いに変わるからだ。50年ほど前「落語界」と言う雑誌に志ん生と八代目文楽の演出の違いが掲載されていた。「富久」だ。私はその大きな演出の違いを見て圧倒された。どちらも甲乙つけられない完成度だがまったく演出が違うのだ。幇間の久蔵がまるで違う人間に創り上げられていた。まだ立川談志が元気だった頃談志は「落語と言うものは突き詰めて言えば登場人物の持つ業の表現をどう演じるかが落語の魅力なのだ。例えば志ん生はそれを自分に投影し、文楽は文学の名文のように言葉を選んだ。」こう話してくれたことがある。前座、二つ目の頃は師匠から落語の基礎を学び高座で喋っているが、やがて自分の噺として演じて行くのだ。落語家その人がその物語に現れて来るモノなのだろう。今回志ん五は「紺屋高尾」を掛ける。本来「幾代餅」が古今亭のネタで、一門はこの噺は演じない。志ん五はそれを「紺屋高尾」で高座に掛けると言うのだ。自身のオリジナルな演出がちりばめられた一席。どう志ん五が料理するか、かなり期待している。そう言えば世之介も昔、談志から「紺屋高尾」を稽古して貰ったと言っていたが高尾で聴いた事は無い。古今亭の「紺屋高尾」非常に楽しみだ。さて菊志んは古今亭の十八番ともいえる「代り目」だ。寄席に行けば必ず出て来るメジャーなネタだが、独特の女房の演出を得意とする菊志んの事だ。菊志ん落語の「代り目」で爆笑させてくれるに違いない。どうアレンジして演出するのかこれも楽しみだ。世之介は「笠碁」。これは先代柳家小さんと十代目馬生の演出の違いが東横落語会や紀伊国屋落語会の落語ファンの間でよく話題になった。どちらも私は好きなのだが、古今亭ファンとしては馬生を推したい。世之介は先代馬生を受け継ぐ演出であるから是非今回古今亭を基盤にした笠碁も楽しんで貰いたい。第三回になる「志ん生の孫」。今見ないと乗り遅れる落語会のひとつだと思う。是非予約してみたらどうだろう。そして付け加えるが前座の杏寿も女性落語家の未来を感じさせてくれる。注目してみてはどうだろう。今回も楽しみだ。 演芸評論家 室輪まだこ |
2021.10.15 動画配信 第三回 志ん生の孫 |
古典落語の同じ噺を何度聞いても面白いと思うのは、私だけではないだろう。これは個々の噺家によって演出が大いに変わるからだ。50年ほど前「落語界」と言う雑誌に志ん生と八代目文楽の演出の違いが掲載されていた。「富久」だ。私はその大きな演出の違いを見て圧倒された。どちらも甲乙つけられない完成度だがまったく演出が違うのだ。幇間の久蔵がまるで違う人間に創り上げられていた。まだ立川談志が元気だった頃談志は「落語と言うものは突き詰めて言えば登場人物の持つ業の表現をどう演じるかが落語の魅力なのだ。例えば志ん生はそれを自分に投影し、文楽は文学の名文のように言葉を選んだ。」こう話してくれたことがある。前座、二つ目の頃は師匠から落語の基礎を学び高座で喋っているが、やがて自分の噺として演じて行くのだ。落語家その人がその物語に現れて来るモノなのだろう。今回志ん五は「紺屋高尾」を掛ける。本来「幾代餅」が古今亭のネタで、一門はこの噺は演じない。志ん五はそれを「紺屋高尾」で高座に掛けると言うのだ。自身のオリジナルな演出がちりばめられた一席。どう志ん五が料理するか、かなり期待している。そう言えば世之介も昔、談志から「紺屋高尾」を稽古して貰ったと言っていたが高尾で聴いた事は無い。古今亭の「紺屋高尾」非常に楽しみだ。さて菊志んは古今亭の十八番ともいえる「代り目」だ。寄席に行けば必ず出て来るメジャーなネタだが、独特の女房の演出を得意とする菊志んの事だ。菊志ん落語の「代り目」で爆笑させてくれるに違いない。どうアレンジして演出するのかこれも楽しみだ。世之介は「笠碁」。これは先代柳家小さんと十代目馬生の演出の違いが東横落語会や紀伊国屋落語会の落語ファンの間でよく話題になった。どちらも私は好きなのだが、古今亭ファンとしては馬生を推したい。世之介は先代馬生を受け継ぐ演出であるから是非今回古今亭を基盤にした笠碁も楽しんで貰いたい。第三回になる「志ん生の孫」。今見ないと乗り遅れる落語会のひとつだと思う。是非予約してみたらどうだろう。そして付け加えるが前座の杏寿も女性落語家の未来を感じさせてくれる。注目してみてはどうだろう。今回も楽しみだ。 演芸評論家 室輪まだこ |
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