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NEWS > 21.11.15 第四回 志ん生の孫
2021.11.15
動画配信 第四回 志ん生の孫




第四回 志ん生の孫

【木戸銭】 2,000円
*出演者サイン入りポストカード付き

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第四回『志ん生の孫』
 昭和を生きた噺家がまたこの世を去った。柳家小三治の訃報はあまりに突然で時代の変り目を感ぜざるを得ない。平成はさて置き戦後の昭和の四十年間は落語界において正に最高の時代であった気がする。太平洋戦争が終わり、笑に飢えた国民はこぞって寄席を訪れ落語に酔いしれてくれた。今回の菊志んの「祇園会」などの噺家の口術の技を魅せる噺は昭和の高座では必ず中手と言って話の途中で拍手が来たものだ。今風に言えばスタンディングオベイションだ。「ガマの油」「金明竹」や歴代横綱の言い立てで盛り上がる寄席を沢山見て来たものだ。しかし今寄席で中手を見る事はほとんどない。芸人の技量が落ちとは私は感じない。もし言うなら落語界がお客を育てそこなったように感じる。昭和の時代に菊志んがこの噺をしていれば間違いなく中手が来たに違いない。SNSではあるが是非彼の落語技を観てもらいたい。世之介の「文七元結」は何度も聴いている。こういった大ネタは登場人物をどこまで掘り下げられるかにかかっていると私は考える。特に主人公の長兵衛を取り巻く端役の演出が噺の厚みを生んでゆく。佐野づちの女将の演出について世之介と話したことがあった。世之介は最後までこの女将の演出が出来ず。師匠から教わった通りにしかそこを演じられなかったと悩んでいた。ある時、踊りの師匠に遭ってその「浅草育ちの鉄火にやっと女将の外観が出来た」と喜んでいた事があった。あれから二十年以上過ぎてその演出がどう変わったのか今回は楽しみだ。志ん五の師匠先代志ん五は与太郎のスペシャリストだった。これからも彼のような与太郎演出を見る事は出来ないだろうが、弟子である彼の「牛褒め」での演出を期待しないではいられない。これから「志ん生の孫」たちがいよいよ令和の落語を綴っていく。その現場に居られる喜びを皆さんにも味わってもらいたい。

演芸評論家 室輪まだこ



2021.11.15
動画配信  第四回 志ん生の孫




第四回 志ん生の孫




【木戸銭】 2,000円
出演者サイン入りポストカード付き

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第四回「志ん生の孫」

 昭和を生きた噺家がまたこの世を去った。柳家小三治の訃報はあまりに突然で時代の変り目を感ぜざるを得ない。平成はさて置き戦後の昭和の四十年間は落語界において正に最高の時代であった気がする。太平洋戦争が終わり、笑に飢えた国民はこぞって寄席を訪れ落語に酔いしれてくれた。今回の菊志んの「祇園会」などの噺家の口術の技を魅せる噺は昭和の高座では必ず中手と言って話の途中で拍手が来たものだ。今風に言えばスタンディングオベイションだ。「ガマの油」「金明竹」や歴代横綱の言い立てで盛り上がる寄席を沢山見て来たものだ。しかし今寄席で中手を見る事はほとんどない。芸人の技量が落ちとは私は感じない。もし言うなら落語界がお客を育てそこなったように感じる。昭和の時代に菊志んがこの噺をしていれば間違いなく中手が来たに違いない。SNSではあるが是非彼の落語技を観てもらいたい。世之介の「文七元結」は何度も聴いている。こういった大ネタは登場人物をどこまで掘り下げられるかにかかっていると私は考える。特に主人公の長兵衛を取り巻く端役の演出が噺の厚みを生んでゆく。佐野づちの女将の演出について世之介と話したことがあった。世之介は最後までこの女将の演出が出来ず。師匠から教わった通りにしかそこを演じられなかったと悩んでいた。ある時、踊りの師匠に遭ってその「浅草育ちの鉄火にやっと女将の外観が出来た」と喜んでいた事があった。あれから二十年以上過ぎてその演出がどう変わったのか今回は楽しみだ。志ん五の師匠先代志ん五は与太郎のスペシャリストだった。これからも彼のような与太郎演出を見る事は出来ないだろうが、弟子である彼の「牛褒め」での演出を期待しないではいられない。これから「志ん生の孫」たちがいよいよ令和の落語を綴っていく。その現場に居られる喜びを皆さんにも味わってもらいたい。

演芸評論家 室輪まだこ







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