金原亭杏寿 根多おろし落語会『黒門町で逢いましょう』|落語会のお知らせ|金原亭杏寿 Official web site
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金原亭杏寿 黒門町で逢いましょう

金原亭杏寿 黒門町で逢いましょう

毎月根多おろし落語会

落語協会 2階

〒110-0005
東京都台東区上野1-9-5
落語協会
※会場でのマスク着用はお客様の判断でお願いいたします。

全自由席

前売り 2,000円
当 日 2,300円

満員御礼

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『火焔太鼓』で「黒門町で逢いましょう」最終回

『黒門町で逢いましょう』が今回で第12回を迎える。

二つ目になって丁度一年。その一年を記念しての演題が「火焔太鼓」である。

実は毎月続けた『黒門町で逢いましょう』は一度ここで最終回とするそうだ。

毎回満員御礼の会を止めてしまうのはもったいない気がするが当人の考えがあるのだろう。

さて『市川團十郎十八番』のように大芝居の世界に十八番があるように、近年までは落語の世界にも十八番は存在していた。

例えば八代目桂文楽の「明烏」「愛宕山」「景清」三遊亭圓生「火事息子」「双蝶々」林家正蔵「紫檀楼古木」「中村仲蔵」柳家小さん「大工調べ」「粗忽長屋」など、寄席でその師匠が後から出演する事が分っていたらその前にその噺を高座に掛けることはなかった。

名人だけでなくお客様が噺家に期待する根多には前の出演者は触れなかった。そんな暗黙の了解があった。

例えば円蔵の「猫と金魚」や談志の「源平盛衰記」や「小猿七之助」「鮫講釈」「反対俥」先代馬生の「たがや」「お血脈」「親子酒」なども演る出演者は居なかった。

やがて個人の十八番は一門の十八番にも繋がって、古今亭志ん生の十八番「お直し」「三枚起請」「品川心中」「幾代餅」「文違い」「風呂敷」「柳田格之進」「居残り佐平次」「抜け雀」「火焔太鼓」などは一門の十八番になって代々受け継がれてきた。

中でも「火焔太鼓」は志ん生の代名詞で、息子である志ん朝や馬生ですら志ん生が生きている間は寄席ではあまりかけなかった落語の一つだ。志ん朝が生きている時には根多帳に「火焔太鼓」とあれば「誰に稽古つけてもらった」と出所を確認したほどうるさかったと聞く。

杏寿がその「火焔太鼓」を今回「黒門町で逢いましょう」で根多下ろしするという。これは見逃すわけにいかない。

師匠の世之介は「火焔太鼓」を一門の先輩志ん駒から稽古を受けてその後志ん朝に見てもらったと聞いた。

世之介の言うには「火焔太鼓。この噺は触りようがないんですよ。お客様があの志ん生の『火焔太鼓』の形を期待していて、高座でしゃべり始めると変えて欲しくないオーラが客席から漂ってくるんです。志ん朝師匠も自分なりの解釈はしているが親父の型からはみ出てはいない噺だと、言ってました。

僕なりの演出としては女房と甚平さんの関係で以前よりセリフが小うるさい女房になった感じぐらいですかね。死んだ師匠は『火焔太鼓』だからと気張らず『鮑のし』のつもりでしゃべったら良いとも言ってたのを思い出します。」と言っていた。

何しろ古今亭の落語は「抜け雀」にしろ「火焔太鼓」にしろしっかり者の女房とちょっと抜けた旦那の夫婦の組み合わせの妙が共感を生む噺が多いのでこの噺を、まだ若い杏寿が前回の「抜け雀」に次いでどこまで甚平さんと女房を演じきれるかが今回の楽しみの一つだ。

お客様の期待ともどもまた「黒門町で逢いましょう」第二弾がある事を期待しつつ今回の「火焔太鼓」しっかりと観に行きたい。

演芸評論家 室輪まだこ

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